Kokubu Ambitious Open Space
 

[ 西日本新聞 平成14年7月5日 夕刊より ]

競い合い、育つ

 「それはいじめじゃん」子どもたちが言う。アンビシャス広場で子供たちに、こま回しを教えていたときのことだ。

 子供たちがゲームをしようとせがむのでやり方を教えた。まず一斉にこまを回し、早く止まったものから順番にまわして行く。最後に一番あとまで回っていた強いこま(「天下ごま」と言う)を回す。そのとき、後で回す者は先に回したこまを狙って回すことができる。これを子どもたちは、「弱いこまを狙うなんて、いじめではないか」と言うのである。

 このゲームに使うこまは木製で、ひもで回すものであり、簡単には回せない。何度も何度も挑戦して、やっと回せるようになる。そのときの子どもの笑顔は最高だ。その子どもたちが、お兄ちゃんたちのグループに参加する。そして回すたびに順番が後に、つまり強くなっていく。これもまたうれしいのだ。天下を維持するのも難しい。最後まで回らなければ、「天下落ち」として最初に回さなければならない。

 こまは、手先の訓練と上達するために挑戦することを教えるには最適である。異年齢でやれるという意義もある。ただ、覚えたての小さい子が参加すると誰もそれを狙ったりはしない。子どもたちは「弱いものいじめはいけない」と教えられて、素直に理解しているのだ。初めは「いじめじゃん」と言っていた子どもが、ルールで認められた「攻撃」と、単なる「弱いものいじめ」との違いを見極めていくのだ。

 今の子どもたちは遊びの種類が少ない。いつも同級生とサッカーかドッチボールをしている。個人で競い合うのが少ない。これでは、遊びの中から生きていく力を身に付けたり、社会のあり方を学ぶことはできないのではないか。

 何でも参加し、頑張れる力を付けてやるのが大切だろう。そして少しでも上達すれば褒めてやる。何でも良いからその子が得意とするものを見つけ出してやることも大切だ。そのためには、このような遊びの中での競い合いもまた、必要だと思う。

 小さい子が「僕、天下を取りたい」と言う。「よし、練習して天下を取ろう」と大人も一緒になってこまを回している。アンビシャス広場は今日も元気だ。

福岡県青少年アンビシャス運動地域推進員 藤田弘毅